ブレーカー付きタップで漏電は止まる?ビリビリガードとの違い

ブレーカー付きタップを使えば、漏電も止まりますか?

種類によるよ。「安全ブレーカー内蔵タップ」が止めるのは過電流(使いすぎやショートで流れすぎる電流)。漏電も止めたいなら「漏電ブレーカー内蔵タップ」を選んでね。メーカーも2つを別の商品として売ってるわよ。

ビリビリガードを付ければ、使いすぎやショートも止まりますか?

ビリビリガード GR-XBは止めないわよ。製品ページに「過電流保護機能はありません」と書かれているわ。GR-XBが止めるのは漏電だけよ。

漏電と過電流を、1台で両方止めたいのですが?

ビリビリガードPlus(GB-XC)、漏電ブレーカー内蔵タップ、漏電遮断器付きのコードリールのように、両方を守るとメーカーが明記している機器を選んでね。
この記事では、「ブレーカーが付いているから安全」という思い込みを、その機器が何を止めて、何を止めないかという一点でほどいていきます。根拠は、メーカーの製品ページ、電気保安協会の資料、労働安全衛生規則の条文です。
では、その違いとは何でしょう?
今から紐解きます。

先に結論から見ていきましょう。
「ブレーカー付き」と書かれていても、止めるのが過電流なのか漏電なのかは機器によって違います。ビリビリガード GR-XBが止めるのは漏電だけです。安全ブレーカー内蔵タップが止めるのは過電流だけです。両方を止めたいなら、両方を守るとメーカーが明記している機器を選ぶか、2つを組み合わせます。

電気の事故を自動で止める仕組みは、大きく2つに分かれます。
- 過電流を止める:
配線用遮断器(住宅で使われる「安全ブレーカー」もその一種) - 漏電を止める:
漏電遮断器(「漏電ブレーカー」とも呼ばれます)

パナソニックは、配線用遮断器の役割を「主な働きは、短絡(ショート)や過負荷による、配線(電線)上の過電流発生からおこる事故を防ぐことです。」と説明しています。一方、漏電ブレーカーは同社のFAQで「漏洩電流発生時に電流を自動的に遮断し、感電、漏電火災などの保護をするものです。」とされています。
過電流ブレーカーが守るのは主に電線と機器、漏電ブレーカーが守るのは感電と漏電火災。守る相手が違います。
問題は「ブレーカー付き」という言葉です。これだけでは、どちらの仕組みが入っているのか分かりません。そしてビリビリガード GR-XBは、安全ブレーカー内蔵タップのちょうど反対側にいます。漏電だけを止めて、過電流は止めない。得意なことが正反対なのに、どちらも「ブレーカー」と呼ばれます。


三菱電機によると、配線用遮断器は「バイメタルおよび電磁石の力で引きはずしを行います。」
- 電流が多すぎる状態が続くと、中の金属板(バイメタル)が熱で曲がって回路を切る
- ショートのような大きな電流が一気に流れると、電磁石が引っぱって回路を切る
どちらも見ているのは「量」です。サンワサプライの安全ブレーカーは「15Aをオーバーした場合、ブレーカーが自動的に切れます。」とされていますが、超えた瞬間に切れるわけではありません。同じページに「125%(18.75A)の時、約60分以内で遮断します。」「200%(30A)の時、約2分以内で遮断します。」とあります(周囲温度40℃の場合)。

電気はコンセントから機器へ行き、また戻ってきます。普段は行きと帰りの電流が同じ大きさです。ところが途中で人の体や地面へ電気が逃げると、戻ってくる電流が減ります。
漏電遮断器が見ているのは、この「行きと帰りの差」です。日本電気技術者協会の解説では、零相変流器(ZCT)という部品がこの差を検出する仕組みが説明されています。
裏を返すと、漏電遮断器は「たくさん流れているか」を見ていません。量がいくら多くても、行きと帰りがそろっていれば反応しない。だから漏電専用のGR-XBは、使いすぎでは切れません。

| 数字 | 何の値か |
|---|---|
| 15A(安全ブレーカー) | 超えて流れ続けると切れる、流れる電流の量の基準 |
| 15mA(ビリビリガード) | 行きと帰りの差がこれだけあると検知する、漏れた電流の基準 |
単位をそろえると15Aは15,000mAで、反応する電流の大きさには1000倍の開きがあります。ただし測っている量そのものが違うので、「感度が1000倍」という比べ方はできません。
では、人が感電したときの電流はどのくらいか。北海道電気保安協会は、皮膚・体内・履物や足場の抵抗を合わせて約5,500Ωと置き、「100V÷5500Ω=0.018A(18mA)となります。」と計算しています。同協会が示す目安はこうです。
| 電流 | 目安 |
|---|---|
| 1mA | 感じる程度 |
| 5mA | 痛みを覚える |
| 10mA | 我慢できない |
| 20mA | 痙攣、動けない |
| 50mA | 非常に危険 |
| 100mA | 致命的 |
手が濡れていると「人体の抵抗がおよそ半分以下になりますので、電流は多くなるでしょう。」とも書かれています。
18mAは、15Aの安全ブレーカーから見ればごくわずかな量です。しかも安全ブレーカーは15Aを25%超えても、切れるまで約60分以内という仕組みです。人の体に流れる程度の電流で、過電流ブレーカーが切れる理由はありません。

機器ごとに1枚にまとめました。手元の機器がどの行に入るかを確かめてください。

| 機器 | 過電流(使いすぎ・ショート) | 漏電 |
|---|---|---|
| ビリビリガード GR-XB | 止めない | 止める(15mA・0.1秒) |
| ビリビリガードPlus GB-XC | 止める | 止める(15mA/6mA・0.1秒) |
| 安全ブレーカー内蔵タップ(例:サンワ TAP-BR36A) | 止める(15A超) | 漏電用は別商品 |
| 漏電ブレーカー内蔵タップ(例:サンワ TAP-BR36LN) | 止める | 止める |
| 分電盤の配線用遮断器(安全ブレーカー) | 止める | 役割に含まれない |
| 漏電ブレーカー「O.C付」 | 止める | 止める |
| 漏電ブレーカー「O.Cなし」 | 止めない | 止める |
| 標準のコードリール(例:ハタヤ 標準サンタイガーリール) | 仕様表にブレーカーの項目なし(一部型式は温度センサー付き) | 仕様表の漏電遮断器欄が「-」 |
| 漏電遮断器付きコードリール(例:ハタヤ BG系) | 使いすぎを止める(過負荷付) | 止める |
※「O.C付」「O.Cなし」はパナソニックの解説による区分。O.C付は過電流保護の機能も併せ持つ漏電ブレーカーです。
見てほしいのは、「過電流」と「漏電」の列が、機器ごとに別々に埋まっていることです。片方しか埋まっていない機器は、もう片方を別の機器に任せる必要があります。

テンパール工業のGR-XBの製品ページには、はっきりこう書かれています。
※漏電保護(地絡保護)専用です。過電流保護機能はありません。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 定格使用電圧 | 100V |
| 定格電流 | 15A |
| 定格感度電流 | 15mA |
| 最大動作時間 | 0.1秒(高速形) |
| 極数・素子数 | 2P0E |
| 標準価格 | 5,200円(メーカー製品ページ) |
※この記事の価格は、いずれもメーカーが製品ページに載せている標準価格です。販売店の実売価格とは異なります。
品番は銘板色でGRXB1515(グレー)、GRXB1515B(ブルー)、GRXB1515P(ピンク)の3つです。「2P0E」の「0E」は素子数が0という意味で、テンパールの比較表でも保護目的は「地絡保護専用」とされています。同じ表には「定格不動作電流7.5mA」とあり、7.5mA以下の漏れでは動かないように作られています。
では、GR-XBを使うとき、使いすぎやショートは誰が止めるのか。答えは「GR-XBの外にある、過電流を止める機器」です。パナソニックは漏電専用のブレーカーについて「O.Cなしは、サーキットブレーカーと併せてご使用ください。」と書いています。GR-XBも漏電専用なので、考え方は同じです。
GR-XBが向いているのは、過電流はすでに別の機器が受け持っていて、足りないのは漏電の側だけ、という場面です。

サンワサプライは、ブレーカー付きのタップを2つに分けて紹介しています。
- 安全ブレーカー内蔵タップ
過電流による危険を安全ブレーカーで保護するタップ。 - 漏電ブレーカー内蔵タップ
漏電による危険を漏電ブレーカーで保護するタップ。
型番も別で、安全ブレーカー内蔵タップはTAP-BR36A、漏電ブレーカー内蔵タップはTAP-BR36LN(それぞれ1m・3m・5m)です。同社の別ページでは、漏電ブレーカータップについて「過電流だけでなく漏電が発生した場合にも自動で電気回路を遮断する」と説明しています。
使う場所の目安も分かれていて、漏電ブレーカー内蔵タップには【水分や湿気の多い場所に】、安全ブレーカー内蔵タップには【乾燥しやすい工場・オフィスに】という見出しが付いています。
アメリカン電機も、同じOAタップに「15Aコード保護機能付安全ブレーカ、または15A漏電ブレーカ(感度電流15mA)」と2つの型を用意しています。
見分けるポイントは2つです。
- 商品名が「安全ブレーカー」か「漏電ブレーカー」か
- 仕様に感度電流(mA)の記載があるか。漏電を検知する機器には、GR-XBやアメリカン電機の15mAのように、mA単位の感度電流が示されています
「ブレーカー付き」という言葉だけで選ぶと、欲しかったのとは反対側の機器を手にすることがあります。

コードリール(電工ドラム)も、見た目では中身が分かりません。
ハタヤの標準サンタイガーリールは、製品ページのスペック表で全型式の「漏電遮断器」欄が「-」です。漏電遮断器が付いたものは、BG-30などの別の型式として用意されていて、漏電遮断器欄は「過負荷付」。製品ページには「過負荷付漏電遮断器を標準装備! 使いすぎにも、漏電にも安心な仕様です。」とあります。
なお、標準サンタイガーリールの一部の型式(型式名にSが付くものや GT-50 など)には温度センサーが付いています。製品ページでは「巻いたまま長時間使用したり、定格電流を超えて使用すると起こる電線の異常な温度上昇を感知し、コンセントへの給電をストップします。」と説明されています。見ているのは電線の温度で、漏電を見る仕組みではありません。
同じシリーズ名のリールでも、型式で漏電を止めるかどうかが変わります。型式と仕様表の「漏電遮断器」欄を見るのが確実です。


- ビリビリガードPlus(GB-XC)
:製品ページに「保護機能:地絡保護・過負荷・短絡保護」とあり、2P2E。感度電流15mA(GBXC1515)と6mA(GBXC1506)の2品番で、動作時間は0.1秒(高速形)。接地極付きのプラグ形で「※屋内専用(防水形ではありません)」。標準価格は9,200円(メーカー製品ページ) - 漏電ブレーカー内蔵タップ
:サンワは過電流と漏電の両方で遮断すると説明 - 漏電遮断器付きコードリール
:ハタヤのBG系は「過負荷付」の漏電遮断器を標準装備
テンパールの比較表では、6mA品(GBXC1506)の定格不動作電流は3mAで、15mA品(7.5mA)より小さな漏れから反応します。口数はGB-XC・GR-XBとも2個、合計1,500Wです。
GR-XBのような漏電専用の機器を使うなら、過電流を止める機器が別にあるか。安全ブレーカー内蔵タップを使うなら、漏電を止める機器が別にあるか。保護マップの「過電流」と「漏電」の2つの列が、手元の構成全体で両方埋まっているかを見れば判断できます。

関係するのは労働安全衛生規則の第333条です。条文は「事業者は、電動機を有する機械又は器具(以下「電動機械器具」という。)で、」から始まり、条件に当てはまる機器について「感電防止用漏電しや断装置を接続しなければならない。」と定めています。
条文から読み取れる条件は次のとおりです。
- 義務を負うのは「事業者」。作業する個人ではありません
- 対象はモーター付きで、移動式または可搬式の機械器具
- さらに、次のどちらかに当てはまるもの
- 対地電圧が150Vを超える
- 水などで濡れている場所、または鉄板上・鉄骨上・定盤上など電気を通しやすい場所で使う

裏返すと、100Vの機器を乾いた場所で使う場合は、この条文の義務の対象外です。また、この条文は延長コードやタップそのものを対象にしたものではありません。「延長コードには法律で漏電遮断器が必須」とは言えない、というのが正確なところです。
第334条では、二重絶縁構造の電動機械器具などが333条の適用から外されています。なお333条2項は、漏電遮断装置の接続が困難なときに、金属製の外わくなどを接地(アース)して使うことを定めています。
法律で義務になる場面と、付けるかどうかを選べる場面がある。この区別があると、「付けないと違法」「付けなくても平気」のどちらにも偏らずに判断できます。
感電防止策の一環として、なくてはならない機能だと考えます。
作業員全員の事故防止で必要です。


- 漏電だけ足りない → GR-XBのような漏電専用の機器
- 過電流だけ足りない → 安全ブレーカー内蔵タップ
- 両方まとめて持たせたい → GB-XC、漏電ブレーカー内蔵タップ、漏電遮断器付きコードリール
- 水分や湿気の多い場所 → サンワは漏電ブレーカー内蔵タップに【水分や湿気の多い場所に】と書いています
- 濡れた場所・鉄板上・鉄骨上でモーター付きの移動式工具を使う → 事業者に333条の義務がかかる場面です
- 屋外 → GB-XCは「屋内専用」なので候補から外れます
「過電流」と「漏電」の列で空いているほうを埋めます。「ブレーカー付き」という言葉ではなく、商品名・型式・仕様表で確かめてください。


Q. 15Aのブレーカー付きタップは、1500Wを超えたらすぐ切れますか?

すぐには切れないわ。サンワサプライはコンセントやタップの定格容量を「一般的には15A・1500W」と説明しているけど、安全ブレーカーの遮断条件は電流(A)で書かれていて、「125%(18.75A)の時、約60分以内」「200%(30A)の時、約2分以内」です(周囲温度40℃の場合)。少し超えた程度では、しばらく流れ続けることがあるわ。

Q. ビリビリガードを付けていれば、感電はしませんか?

感電をゼロにする機器じゃないのよ。GR-XBの定格不動作電流は7.5mAで、北海道電気保安協会の目安では5mAで「痛みを覚える」とされているわ。GR-XBは、15mAの漏れを検知して0.1秒以内に回路を切るという仕様の機器よ。濡れた手で触らないといった基本は、付けていても変わらないわ。

Q. 家の分電盤の漏電ブレーカーと、ビリビリガードは何が違いますか?

感度の数字が違うわよ。パナソニックは住宅の漏電ブレーカーについて「一般に高感度形(定格感度電流30mA)・高速形(動作時間0.1秒以内)です。」と説明しているわ。GR-XBは15mA、GB-XCには6mA品もあるのよ。

- 「ブレーカー付き」には、過電流を止める安全ブレーカーと、漏電を止める漏電ブレーカーがある。言葉だけではどちらか分からない
- ビリビリガードGR-XBは漏電専用で、「過電流保護機能はありません」と明記されている。安全ブレーカー内蔵タップとは得意なことが正反対
- 過電流ブレーカーは「量」(15A)、漏電遮断器は「行きと帰りの差」(15mA)を見ている。人の体に流れる程度の電流では、過電流ブレーカーは切れる理由がない
- 両方止めたいなら、GB-XC・漏電ブレーカー内蔵タップ・漏電遮断器付きコードリールを選ぶか、片方ずつの機器を組み合わせる
- 安衛則333条の義務は事業者にかかり、対象はモーター付きの移動式・可搬式の機器で、150V超か、濡れた場所・鉄板上・鉄骨上などで使う場合。延長コードに一律の義務があるわけではない
手元のタップやコードリール、ビリビリガードを保護マップに当てはめると、「過電流」と「漏電」のどちらが空いているかが見えてきます。空いている側を、商品名と型式で確かめて埋めてください。



- テンパール工業 ビリビリガード GR-XB 製品ページ: https://www.tempearl.co.jp/products/model/?no=631
- テンパール工業 ビリビリガードPlus GB-XC 製品ページ: https://www.tempearl.co.jp/products/model/?no=895
- テンパール工業 ビリビリガード 仕様比較(PDF): https://www.tempearl.co.jp/assets/docs/products/faq/biribiri_hikaku.pdf
- サンワサプライ 安全・漏電ブレーカー内蔵タップ特集: https://www.sanwa.co.jp/seihin_joho/safety-tap/index.html
- サンワサプライ ブレーカータップ: https://www.sanwa.co.jp/product/oatap/breaker/index.html
- アメリカン電機 OAタップ(ブレーカ付): https://www.americandenki.co.jp/products/50taps/80taps/20bk06/
- ハタヤ サンタイガーリール: https://www.hataya.jp/products/cordreel/post1004/
- ハタヤ [漏電遮断器付]サンタイガーリール: https://www.hataya.jp/products/cordreel/post10015/
- 三菱電機 配線用遮断器 製品特長: https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/lvd/lvcb/pmerit/mccb/index.html
- パナソニック ブレーカーの種類: https://www2.panasonic.biz/jp/basics/electric/breakers/breaker-type/
- パナソニック ブレーカーのはたらき(漏電): https://www2.panasonic.biz/jp/basics/electric/breakers/breaker-leakage/
- パナソニック FAQ サーキットブレーカと漏電ブレーカの違い: https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/78546/
- 日本電気技術者協会 漏電遮断器の原理: https://www.jeea.or.jp/course/contents/08105/
- 北海道電気保安協会 感電について: https://www.hochan.jp/knows/electric/
- 労働安全衛生規則 第333条(e-Gov法令API): https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=昭和四十七年労働省令第三十二号;article=333
- 労働安全衛生規則 第334条(e-Gov法令API): https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=昭和四十七年労働省令第三十二号;article=334
- 労働安全衛生規則 第333条・第334条(Legal Leap): https://seishorei-wakarukun.com/laws/347M50002000032/articles/333 / https://seishorei-wakarukun.com/laws/347M50002000032/articles/334