事故を未然に防ぐ新しい「あたりまえ」へ
皆さんは作業や日常生活の中で、ちょっとした油断から手をケガした経験はありませんか?
現代社会では、プロの現場に限らず、家庭や趣味のDIY、災害時などあらゆる場面で“鋭利なもの”に触れるリスクが増えています。
その中で「切創防止手袋」がこれまで以上に重視されるようになりました。
なぜ、いま切創防止手袋が必須なのか?
そして、適切な手袋を選ぶことでどう変わるのか?
この疑問に、現場目線と一般利用の両面から分かりやすくお答えします。
切創防止手袋が「いま」重要な理由
- 人は誰でもミスをするもの
一瞬の油断や不注意は避けられません。特に建築現場や物流、家庭の包丁使いでの切り傷は日常的なリスクです。 - 切創事故は損失が大きい
仕事なら休業や生産性低下、家庭なら生活の支障や精神的な負担に。
逆に、切創防止手袋を適切に使えば、ケガや事故を未然に防ぎ、作業効率の維持や生活の質向上につながります。 - 安全意識の高まりと作業環境の多様化
現場の安全基準強化やDX化進展にともない、手袋にも高い性能と快適性が求められています。
切創防止手袋の主な素材と特徴
- アラミド繊維(例:ケブラー)
耐切創性と耐熱性に優れ、鋼板やガラスの運搬、高リスク作業に最適。 - 超高分子量ポリエチレン(HPPE)
軽量でしなやか、鋭利な刃にも強く、精密作業や長時間作業に適する。 - ガラス繊維・スチールワイヤー混紡
高い耐久性と強度が必要な廃棄物分別や金属加工などに向く。 - 新素材(PBOなど)
薄手で柔らかく、高強度。電子機器組立や医療など快適性と保護の両立に。 - 表面コーティング(ニトリル・ウレタン・PVCなど)
油や水の多い現場でのグリップ力と耐摩耗性を高める機能性。
切創防止性能の国際規格「EN388:2016」とISO13997試験
手袋の耐切創性能は「EN388:2016」規格で評価されており、特にISO13997試験(TDM試験)に基づく耐切創レベルA〜F(Fが最強)が実用的かつ信頼性の高い指標です。
EN388:2016 表記の読み方(一例:4X43F)
位置 | 項目 | 意味 |
---|---|---|
1 | 耐摩耗性 | 1〜4の4段階評価 |
2 | 耐切創(旧試験) | 数値0〜5または「X」(未測定) |
3 | 耐引裂性 | 1〜4の4段階評価 |
4 | 耐突刺性 | 1〜4の4段階評価 |
5 | 耐切創(ISO) | A〜Fの6段階評価(最強F)、ISO13997試験表示 |
「耐切創レベル3」は旧規格?最新評価は?
- 「レベル3」などの数字表記は旧EN388(2003年版)に基づく「クープテスト」の評価で、回転刃による0~5段階の測定です。
- この旧試験は摩耗による誤差があり、現在は「ISO13997(TDM試験)」の6段階評価(A〜F)がより信頼される最新基準となっています。
- ほとんどの新製品はISO13997基準の評価を使用しており、旧クープテスト評価は参考数値にとどめるのが望ましいです。
使用シーン別 推奨耐切創レベル(ISO13997基準)
作業内容 | 推奨レベル | 推奨素材・特徴 | 解説 |
---|---|---|---|
鋼板・ガラス搬送や重リスク作業 | E〜F | スチール混紡・高強度HPPE | 最上位の硬度が必要 |
金属部品組立・樹脂加工 | C〜E | アラミド・HPPE混紡 | 強度と動きやすさのバランス |
精密組立・検査・配線 | B〜C | 薄手HPPE・新素材 | 細かい指先操作に適応 |
家庭での包丁作業・DIY・園芸 | A〜C | 多様な素材選択可能 | 軽リスクの予防に適している |
廃棄物分別・災害対応 | D〜F | スチール・ガラス混紡 | 厳しい環境・異物混入対策に |
食品加工・調理 | B〜D+抗菌仕様 | 洗える素材・衛生配慮型 | 食品安全と保護両立 |
油や水の多い環境 | C以上+コーティング | 耐油ニトリルコーティング | 滑り止めと耐磨耗強化 |
【建築現場のカッターナイフ作業】に最適な切創防止手袋
カッターナイフ使用時の手の切創リスクは特に高く、以下を満たす手袋が必要です。
推奨耐切創レベル
- EN388:2016/ISO13997基準の「レベルD~F」
カッターナイフの鋭い刃や不意の滑りなどに対応し、強度が確実であるレベルD以上(できればEやF)を選びましょう。
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おすすめ素材と加工
- 超高分子量ポリエチレン(HPPE)、アラミド繊維、ガラス繊維やスチールワイヤー混紡
高強度素材の組み合わせで耐久かつ柔軟なもの。 - ニトリルやポリウレタンなどのコーティング
油・水に強く、滑りにくいグリップ性能を持つ表面加工済み手袋が扱いやすいです。 - 指先だけでなく手全体を守る構造
指先や手の甲まで耐切創素材が使われていることが安全面で望ましいです。
作業性と快適さ
- 薄手で柔らかくフィット性の高い手袋を選ぶことで、カッターナイフの細かい作業操作性を損ないません。
- 洗濯可能で再利用ができるタイプなら、衛生保持と経済性にも優れています。信頼できる商品例や参考資料
まとめ:安全は正しい知識と選択から
- 建築現場でカッターナイフを使う作業では、EN388:2016(ISO13997)レベルD以上の耐切創手袋が基本的な安全装備です。
- 素材やコーティング、装着感もしっかり確認し、作業に合った手袋を選んでください。
- 旧規格「レベル3」などは参考数値であり、最新のA〜F評価を基準にすることが事故防止に繋がります。
安心して作業を続けるために、現場の安全意識を高め、最適な切創防止手袋を活用しましょう。